第14回「解決市場」「匠シリーズ」満村聡氏インタビューのファーストビュー

AIとの会話でkintoneアプリが動き出す 「エージェント元年」に福岡・天神から挑むTATARABA「匠シリーズ」

2日がかりの開発を商談中に形にする「ライブコーディング」
アプリ作成から業務自動化まで担う「匠シリーズ」
ノベルワークス代表取締役の満村聡氏

  
株式会社TATARABAは、2026年5月、福岡・天神に設立されたAIエージェント開発のスタートアップである。立ち上げたのは、サイボウズ社「kintone(キントーン)」の導入・開発で豊富な実績を持つ株式会社ノベルワークス代表取締役の満村聡氏。同社が第1弾として提供するのは、AIとの対話だけでkintoneのアプリ作成からカスタマイズ、業務の自動化までを実現するAIエージェント群「匠シリーズ」だ。AIエージェント元年といわれる2026年に、なぜ新会社を設立したのか。その狙いと展望を満村氏に聞いた。
ー 取材・編集 : 酒巻智宏 | 東京大学大学院卒・元三菱総合研究所・ITライター 
  

日本の製造業への想い。
AIエージェント元年に、新たに会社を立ち上げた理由

 
Q1 | まず、TATARABA設立の経緯からお聞かせください。

満村 一番の理由は、「AIエージェント元年」と呼ばれる2026年に、エージェントのサービスを持つ会社をいち早く立ち上げたかったからです。実は、ノベルワークスでもこの1〜2年、AIの活用に取り組んできたのですが、既存の事業を持つ組織がAIに軸足を移し切るのは簡単ではないということが分かってきました。
それならば、AIエージェント専業の会社としてゼロから取り組もう。そう考えて新しく立ち上げたのがTATARABAです。

Q2| なぜ、それほどまでにAIエージェントにこだわるのでしょうか。

満村 社名の「TATARABA(たたら場)」から想像していただけるかもしれませんが、根っこにあるのは、日本の製造業への想いです。日本はかつて、製造業で世界を席巻した国です。私は日本の中小企業を元気にして、もう一度、世界に誇れる国になってほしい。今、AIエージェントという生成AIの新しい形が見えてきたことで、「日本の製造業に最大のチャンスが来る」と言われ始めています。AIがロボットなどの機械を通じて現実世界で働く、「フィジカルAI」の世界です。
AIエージェントは、フィジカルAIの「論理」を担う部分に当たります。この先、ロボティクスの技術と掛け合わされていけば、製造業の現場に眠る熟練の暗黙知を、目に見える形で受け継げるようになるはずです。だからこそ、誰よりも早くエージェント事業を自ら手がけ、失敗しながら学び、お客様に還元しながら知見を蓄えて、次のフィジカルAIの時代に備えたい。それが一番の想いです。

Q3 | 拠点に福岡・天神を選ばれた理由もお聞かせください。

満村 子どもの頃、父親の仕事の都合で3年ほど福岡に住んでいたんです。人が良くて、食べ物がおいしくて、生活コストも抑えられて、都心部へは自転車で行ける。その中でも、一番はやっぱり「人」ですね。3年間で、いろんなお友達もそうですし、学校の先生などもそうでしたけど、衝撃的に人がみんな良くて。離れるときには「自分だけ福岡に残る」と親に訴えたくらい、すっかり好きになっていました。
以来、「いつかは福岡で」という想いをずっと持ち続けていて、ノベルワークスの経営が安定してきた今が、そのタイミングだと。新しい挑戦は、大好きなこの街から始めることにしました。
 

会話でアプリ作成、コード生成、業務自動化。
3つのAIエージェント「匠シリーズ」

 
Q4 | TATARABAの第1弾サービスとして「匠シリーズ」を開発された経緯を教えてください。

満村 私たちが最終的に目指すAIエージェントの世界に向けて、まずはノベルワークスで長年磨いてきた知見をフルに生かせ、私たちが最も確実に価値をお届けできるkintoneの領域から始めようと考えました。そこで、kintoneの開発に携わる方々に向けたAIエージェント群として開発したのが匠シリーズです。

Q5 | 「匠シリーズ」を構成するCHATONE、BUILDONE、AGENTONEは、それぞれどのようなサービスなのでしょうか。

満村 CHATONE(チャットン)は、kintoneのアプリ作成などを自律的にこなしてくれるエージェントです。普段の日本語で「こんなことがしたいんだけど、どうしたらいい?」と話しかけると、「こうするのがいいと思いますよ。私がやっておきましょうか」と、自分から動いて解決してくれる。kintone全体を幅広く扱える、対話型のエージェントです。
BUILDONE(ビルドン)は、kintoneにおけるプログラミングに特化した開発アシスタントです。kintoneは標準機能だけでは実現できないこともありますが、プログラミングを組み合わせることで、できることの幅が大きく広がります。その部分を自動化するのがBUILDONEです。ポイントは、実際に動いてきた実績のあるライブラリに絞ってコードを生成すること。生成されるコードの再現性が、まったく違ってきます。
 
そしてAGENTONE(エージェントン)は、「エージェントを作るためのエージェント」です。「このアプリがこうなったら、別のアプリにレコードを追加して、担当者に通知する」といった業務の流れを日本語で伝えると、「私ならこうできますが、どうしましょう」と提案しながら、人間が読んで理解できる言葉でルールを作ってくれます。あとは、私たちの実行基盤にあるLLM(大規模言語モデル)がそのルールを読み取り、プロセスオートメーションのようにふるまうエージェントがお客様のkintone環境で自動的に処理を進めていく、という仕組みです。
 

<BUILDONEはプログラミングに特化した開発アシスタント>

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<AGENTONEでエージェントの開発を実現>

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Q6 | 本サービスはどのような方をターゲットとしたものなのでしょうか。

満村 中心として想定しているのは、私たちと同じようにkintoneの開発を手がけるSIerや開発会社の皆さんです。また、ユーザー企業でもkintoneに精通した情報システム部門の方も使っていただけるかなと考えています。
将来的には、一般ユーザーの方も利用できるように段階的に拡大していきたいですね。ただし、うまくAIを使いこなすためには「どう指示すれば、どこまでやってくれるのか」「どの仕事は任せられて、どの仕事は人が見るべきか」を、実際に触りながら肌感覚でつかんでいくことが欠かせません。そのためCHATONEには、主に一般ユーザー向けの機能として書き込みの権限を持たせず、参照だけを許可する「保守モード」を用意しています。まず安全なモードでAIとの対話に慣れて、「これなら任せられる」と思えたら、アプリ作成に進んでいただく。そんな段階を踏める設計にしています。
  

2日がかりの開発が、商談中に終わる。
「ライブコーディング」という新体験

 
Q7| すでに活用は始まっているのですか。

満村 福岡・大阪・東京でお付き合いのある企業にお見せしたところ「すぐに使いたい」という声を多くいただいていて、近いうちに3〜4社での導入が決まる見込みです。
また、ノベルワークス自身も匠シリーズをフル活用しています。ノベルワークスは現在、「アプリケーション開発費用0円」というモデルを打ち出しているのですが、それを成立させている裏側の基盤が、まさに匠シリーズなんです。

Q8| ご覧になった方からは、どのような点が評価されていますか。

満村 一番反応が大きいのはCHATONEです。kintoneといえば、「ノーコードで、マウス操作だけで誰でも簡単に作れる」サービスの代表格として広まってきました。ただ、それでも画面上での作り込みには、それなりの手間がかかります。例えば、アプリを10個作り、マスターとのリレーションを張り、参照レコードを付け、通知を設定して……と一から組み上げていくと、2日がかりの仕事になります。

CHATONEなら、「こういう課題を解決したい」と伝えるだけで、「では、こういう通知を入れて、一覧とグラフを作って、フィールドを並べて、カスタマイズも入れておきますね」と、たたき台が一気に立ち上がります。細かな手直しが残るとしても、そこまでが一瞬で終わりますから、後の負担がまるで違います。音声入力を使えば、キーボードに触れる必要すらありません。

効果が大きいのは、商談の場面です。お客様から「本当はこうしたかった」という要望が出たとき、これまでは必死にメモを取って持ち帰り、次回までに直して持参するのが当たり前でした。CHATONEがあれば、お話ししている間に裏で修正が終わっていて、「今のお話は、こういうことですよね」とその場で画面をお見せできる。私たちはこれを「ライブコーディング」と呼んでいますが、開発スピード以上に、お客様の体験そのものが変わると感じ

<CHATONEは日常的な言葉を入力するだけでアプリを作成可能>

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将来の構想は「エージェントとの協奏社会」を作ること

 
Q9| エージェントによる自動化が進むと、「人の仕事が奪われるのでは」という不安の声もあります。

満村 エージェントで人の作業をどんどん自動化したい、と本気で思っています。ただ、その先に「人を減らしましょう」と言うつもりはありません。単純な作業から解放された時間で、お客様に大きな付加価値を届ける仕事を新たに担っていただく。それが本筋です。
とはいえ現実には、自動化を機に人員を見直す企業も出てくるかもしれません。私はむしろ、そうした変化に直面した方々にこそ、「エージェントを育てる」という新しい仕事を担ってほしいんです。企業には必ず固有の業務プロセスやドメイン知識があるため、汎用的なエージェントはそのままでは利用できません。自社にエージェントを適合させるために「育てる」人が必要になります。そこに、新しい職業を生み出したい。さらにその先では、エージェントと、育て手であるメンターがチームを組んでお客様の業務を代行する、新しい形のBPOサービスも構想しています。AIが人から仕事を奪うのではなく、人とエージェントのハイブリッドで仕事を進めるという仕組みを作ることが、この会社の一番の目的です。

Q10| 最後に、読者へメッセージをお願いします。

満村 世界では今年、「AIエージェント元年」と呼ばれています。チャット画面でAIと会話する、という段階は、もう過去のものになりつつあります。改めてAIの可能性を感じていただくためにも、「エージェントには何ができるのか」を、まず一度試してみてほしいですね。
私たちも、気軽にお試しいただけるプランのほか、今の業務プロセスのどこにAIが生かせるか、その結果どんな価値を生み出せるかを無料で診断するサービスを用意しています。触れてみるだけなら費用はかかりませんし、無理な営業もいたしません。まずはAIを知る機会を作っていただいて、「これは」と感じたら、ぜひ私たちにお声がけください。

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TATARABA「匠シリーズ」説明会開催情報 アクロス福岡7F「解決市場 」にて2開催

AIが勝手に裏で働く未来へ!

「AIは難しそう…」そんな方にこそ聴いてほしい、次世代システム構築の具体策です。
これまでの「人間が画面を操作する」前提を覆し、AIエージェントが自律して業務を処理する世界を解説します。

本セッションでは、kintoneを土台に、専門知識ゼロでも直感的に理解できる
「これからの自社システムの育て方」を、
「匠シリーズ(CHATONE・BUILDONE・AGENTONE)」画面をお見せしながら分かりやすく紐解きます。

こんな方におすすめ

・システム導入を検討してるけどどこに相談すべきかわからない方
・生成Aiって騒がれてるけど何がすごいのかわからない方
・kintone×Aiの最新活用方法を知りたい方
・kintoneビジネスで成果を出したい方